TALKDELIC


「森の記憶」

時間がついそこまで流れてきたのに気づかず、
時間は私の部品を、またいくつか流していった。
灰色の地面のような日々がまだ続いていたのに、
いつの間にかそのことは、私だけの記憶になった。

私の苦い思いも決死の行動も・事実も、
もう人の知り得るところではなく、
ただ嘘がその空間を代わりに埋めていった。
誰かによって、流し込まれた。

力のなさ、弱さに気づいて、
強い人の嘘を憎んだ。
森はその言葉につつまれていく。
動物達は木々のために、産まれては死んだ。

私だけ抵抗していた。
森の中にいた私は、自力で都会へと脱していた。
生い茂る森を離れてみていたけど、
もう森には何も言えなかった。

何故かくやしい思いが、蔦のように胸に絡んだ。

森をうしなった私は弱く、
都会では小さな花にさえなれそうになかった。
なぜ、森では弱くても頑張れたの?
記憶は彼方にありながら、くやしさをただ発信している。

時間はここでは早く流れ、
記憶は、そして過去の事実は意味を失いつつある。
過去につくられた私は、時間に飲み込まれて、
灰色の階段を昇っては降りた。

 

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